トレランの鼓動-1- [トレイルランニング]
茨城県高萩市。県の北部にある。
今は親類も友だちも居ないが、ここは僕のふるさと。
11年しか居なかったが、ここは僕のふるさと。
人口約3万、東京ドームの観客席を満席にすることができないが、ここは僕のふるさと。
放射性廃棄物の最終処分場の候補地で物議を醸しているが、ここは僕のふるさと。
トレランデビューする場所は最初から決めていた。
僕のふるさとで。
茨城県高萩市にある花貫渓谷と土岳。
ここが僕の記念すべきトレイル第一号の場所。
紅葉の時期はそれなりに観光客で賑わう。
小学校の低学年の時に登ったくらいだから、それほど危険でもキツくもないだろう。
だけど多くの人が山を侮るなと言っている。
ああ、侮らないよ。
初めてのトレイルランニングだしね。
必要なさそうなモノも 万が一に備えてザックに詰めていく。
準備は万全。あとは早めに寝て朝早く出発しよう。
そう思って就寝するが、興奮していてなかなか寝付けない。
まるで遠足の前日のようだ。
だけど大人になってこういう状態になるのもなかなか無い。
脳と身体が本当に楽しみにしているよう。
実にイイことだ。
日曜の朝、現地に着いた。
ストレッチをし、深呼吸をする。
周りは杉や桧の山ばかり。
忘れ物チェックをし、静寂の中スタートした。
登山口までは約3km。
走りながら風景の一つひとつを過去の記憶と照らし合わせる。
こんなんあったけ?こんなにショボかったっけ?
子供の頃の記憶を馬鹿にしつつ、登山口に着いた。
さて、いよいよ登りだ。
今回は無理をせず、走れるところは走り、ダメだと思ったところは躊躇なく歩いていこう。
登りはじめて10分後、下ってくるハイカーに遭遇。
記念すべきトレランでの初挨拶。
「おはようございますっ」
大きい声と多少ひきつった笑顔だが最大級の表現で挨拶。
「こんちわーッス」と返事が返ってくる。
あれ?山の挨拶って朝昼晩かかわらず「こんにちは」なんだっけ?
いやいやそんなはずは無いだろうが、なにしろ初めてなのでそんなくだらないことでさえも気になる。
多少ゼエゼエし始めてきた。さすがは低山でも山だ。
ほんの少し移動しただけなのに鼓動のスピードが荒く速いぞ。
そんなことを考えているうちに前方に登っている別のハイカーを発見。このままのスピードだと確実に抜かすことになる。
初めての追い越しだ。
「おはようございます、横通ります、後ろから失礼します」
スマートに横を通る。うーん、完璧だ。
斜面が多少キツくなる。
ちょっと休みたいが、先ほど抜いたハイカーに抜き返されるのはなんだかイヤだ。
いやいや、山でそんな無理をしてはいけないとは思うのだが、やっぱり抜かれたくない。
膝に手を当て、登っていく。
パッと見、そんなに急斜面ではないように見える箇所でも苦しい。大いに苦しい。
ゼイゼイ、ハアハア、心肺機能フル活動だ。
こんなに心臓と肺を同時に酷使したのは初めてかもしれない。
こんな小学生が登る山でこれだ。
他の山はどうなんだろう。
流石は山だ。
頂上に着く手前、すこし下りがある。
その少し先、ポールを持ったハイカー発見。
山では登り優先。
どうぞ、どうぞとニコやかに待機するが、向こうもどうぞ、どうぞをしている。
ああ、本当はここでちょっと休憩したかったんだけどなあ、と思いつつも僕は山初心者。
ご好意を素直に受けて先に通り抜ける。
程よい苦しみを味わったらもう頂上が見えてきた。
初トレイルはふるさとの山で、、、良いですね!
慣れ親しんだ山もトレイルで入るとまた新鮮な感じがします。
私も子供の頃登ってた山に何十年振りでトレイルした時は
感動しましたよ。
by hime (2013-03-08 23:24)
himeさん
子供時代感じた空気と大人になってから感じる空気って似ているようで微妙に違っているような、その誤差がまたなんともいえない余韻を与えてくれるというか…。
とにかく初トレイルがふるさとの山で良かったです!
by mark3 (2013-03-09 00:33)